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エンデュアランス号漂流-最終回-

いよいよ最終回がきました

普通に読んだらモット早く終わるんですが、ブログなのでそうはいかないのです

でも長かった・・・

大変だったけど、充実感があります

では、おしまいに、一人残らず救出されるまでの、エピローグです




エピローグ・・・(引用)




サウスジョージア島の横断を成功させたパーティは他にもう一組しかいない。四十近く後の千九百五十五年、有能なるダンカン・カース隊長率いる英国の調査探検隊が、島を横断した。必要な装備を十分に整えた、登山の専門家たちで構成されたパーティである。それでもこの行程は極めて困難なものだった。

この千九百五十五年十月の探検について、カースは、考えられるルートは二つ、(ハイ・ロード)と(ロー・ロード)があったと説明している。「距離でいえば」とカースは書く。「両者は十マイルと違わない。だが、難度という点では、両者は比較にならない。


我々の旅は気楽なもので、時間もたっぷりあった。そりにテント、十分な食料と、装備は完璧だ。確かに道を切り開きながら進んだが、時間の余裕はあったし、先にあるものの予想もついた。成功の確率が高いと思われる冒険しかしなかった。責任を負っているのは、自分の命に対してだけだ。我々はハイ・ロードを進んだ。

彼らは-シャクルトン、ワースリー、そしてクリーンは・・・ロー・ロードを行った。どうやってそれを成し遂げたのかは知らない。わかっているのは、彼らがそうするしかなかったということだけだ。南極探検の黄金時代を生きた三人の男は、わずか五十フィートのロープと、船大工の使う手斧だけで、島を横断した。」



捕鯨基地の人々は精一杯の歓待で、シャクルトン、ワースリー、クリーンを迎えた。三人はまず、長い時間をかけてゆっくりと風呂に入った。それから髪をそり、基地の倉庫から出してもらった新しい服に着替えた。


たっぷりの夕食を堪能した後、ワースリーは捕鯨船「サムソン号」に乗り組み、島の反対側のペゴティキャンプへ、マクニーシュ、マッカーシー、ヴィンセントを迎えに出向いた。

サムソン号は翌朝、キング・ハーコン湾に着いた。
 

このときの様子については、あまり多くはしられていない。ただ、三人は初め、迎えに来たワースリーを見ても、髪をそり服を着替えてあまりに変わっていたため、ワースリーだと気づかなかったという。

サムソン号は翌五月二十二日、ストロームネス港に到着した。

その間シャクルトンは、エレファント島の隊員たちを救出するため、巨大な木製の捕鯨船「サザン・スカイ号」を借用する手配を整えていた。


その夜基地では、いささか乱暴な歓迎の宴が開かれた。ワースリーは書いている。「広い部屋に、船長、船員、船乗りがびっしり詰めかけ、タバコの煙がもうもうと立ち込めた。」

四名の白髪の労船長が前に進み出た。司会の説明をセレルが通訳してくれたところによれば、彼らはノルウェー人で、南極の海を四十年以上航海してきた。エレファント島からサウスジョージア島まで、二十二フィートの無甲板船でドレーク海峡を渡ってきた強物たちと、是非握手させてほしい、という。

部屋にいた全員が立ち上がり、四名の労船長は、シャクルトン、ワースリー、クリーンの手を順に握り、彼らが成し遂げた偉業をたたえた。


立派な儀式もなければ、演説もなかった。メダルや動章の授与もなかった-ただ、成し遂げた偉業の価値を真に知るものだけが送ることの出来る、心からの賞賛があった。


その後行われた数え切れぬほどの式典のどれと比べても、千九十六年五月二十二日の夜、サウスジョージア島の薄汚れた倉庫で催されたこの歓迎の宴が。一番素晴らしく、感動的だった。南の海の船長たちが一人一人前に進み出て、ただ黙ってシャクルトン、ワースリー、クリーンと握手を交わした。

翌朝、シャクルトンは二人の仲間とともに、エレファント島へとたった。

これが、きも狂わんばかりの挫折が相次ぎ、ついに三ヶ月以上の長きにわたってしまった、救助活動の始まりだった。エレファント島の周囲には流氷がびっしりと張りつめ、救助船の進入を頑としてはねつけていたのである。


サザン・スカイ号はサウスジョージア島を出発してわずか三日後に流氷帯に遭遇し、一週間もたたぬうちに帰港を余儀なくされた。しかし、それから十日後には、小型測量船を入手し、再び救助に出発した。この測量船はわずか六日で、ぼろぼろになって帰港した。

三度目には頑丈な木製スクーナー船、エマ号でちょうせんした。エマ号は三週間近く海上で頑張ったものの、浮かんでいるだけで精一杯という状態だった。エマ号は結局、エレファント島まで百マイル以内に近づくことが出来なかった。


八月三日、ケアード号がサウスジョージア島目指してたってから、三ヵ月半が過ぎようとしていた。

シャクルトンの苦悶はつのった。

彼は、イエルコ号という遠洋航海用の曳き船を借りるべくチリ政府に交渉した。交渉は成立し、・・・イエルコ号は出航した。今回は、運命は彼らに味方しそうな気配だった。


五日後の八月三十日、ワースリーは書いている。「午前五時二十五分、全速・・・・・・・・十一時十分・・・かすかに島の形がみえてくる。氷塊、岩礁、氷山の間を進む。一時十分、南西の方角にキャンプ発見・・・。」

エレファント島の二十二名の男たちにとって、八月三十日の朝は、いつもと変わらずに明けた。日の出時には雲がなく、寒かったので、晴天になるだろうと思われた。が、間もなく重い雲が垂れ込めてきて。オーデリーのいう、すっかりなれっこになった、いつもの曇天が広がった。


例によって、ほとんど全員がそれぞれに見張り台へと登り、救助船の影が見えないことを確認しては戻っていった。・・・毎日それをしないとなんとなく落ち着かないという儀式であり、たいした希望も抱かず登っては、特に失望することもなく小屋に戻った。

ケアード号がたってすでに四ヶ月と六日が過ぎており、六人が無事にサウスジョージア島に到着したと本気で信じている者は、いまや一人もいなかった。


十二時四十五分、シチューの用意ができた。マーストン以外は全員、小屋に集まった。マーストンは見張り台に行って、周囲の風景をスケッチしていた。

数分後、マーストンの足音が聞こえてきた。走っているようだったが、誰も気にしなかった。昼食に遅れたのだから、別に不思議はない。

マーストンは小屋に顔をのぞかせ、ワイルドに向かって言った。ひどく息切れしていたため、さりげない一言にしか聞こえなかった、と言う者もいる。


「煙でも炊いて、合図したほうがいいんじゃないでしょうか?」マーストンは言った。

一瞬、全員がしんと静まり返り、それから一人、また一人と、マーストンの言葉の意味を理解した。「その問いへの答えを待たず-」オーデリーは書いている。「皆が我先にと出入り口へ殺到した。アザラシのシチューの入ったマグカップが散乱して、出入り口は大勢が突進して押し合いへし合いしたために壊れてしまった。」


ブーツを・・・履かずに飛び出したものもいた。ジェイムズはブーツを左右逆に履いていた。


間違いなく、小さな船が、わずか一マイルほどの沖に浮かんでいた。

マクリンは見張り台に向かい、走りながらバーバリーの上着を脱いだ。そうして旗ざお代わりに立てていたポールの先にその上着を結びつけた。しかし、うまく一番上まで上がらず、上着は半分ほどのところで止ってしまった(シャクルトンはこの半分のところで止まっている旗を見て。島で誰かが死んだために半旗を掲げていると思い、暗い気持ちになったという)。


船は着実に彼らのところへ向かってきていた。その間ワイルドは、水際に行ってボートを寄せるのに最も適した場所を指図する合図を送った。ハウは貴重なビスケットの缶を開け、皆に配った。しかし、それを食べるために立ち止まる者はほとんどいなかった。この瞬間の興奮に比べたら、素晴らしいご馳走すら、かすんでしまった。


マクリンは小屋に戻ると、ブラックボロを肩車し、この心躍る光景を見ることができるよう、近くの岩の上まで連れて行った。


船は数百ヤードほどの所まで近づき、止まった。ボートが降ろされるのが見えた。四人の男がボートに乗り込んだ。先頭にいるのは、見覚えのある、がっしりとしたたくましい体-シャクルトンだった。自然に歓声が湧き起こった。岸辺の男たちの興奮は頂点に達し、多くのものが大声で笑い出した。

数分後、ボートが十分に近づいたところで、シャクルトンは声を張った。

「みんな無事か?」

「全員無事です」男たちは口々に答えた。

シャクルトンは男たちに向かって大至急ボートに乗り込むよう声をかけた。

声をかけられるまでもなく、男たちは瞬くまに岩からボートへと飛び移り、ほんの一時間前には、なくなったら生きていけないほどに思っていた自分の持ち物にちらと思いを馳せることもなかった。

ボートは島といえるこの間を二度往復した。

その間ワースリーは、イエルコ号のブリッジから、島の様子を心配そうに見守っていた。

そして、ついに記録した。「二時十分。全員無事!全員生還!二時十五分、全速で前進。」

マクリンは書いた。「ぼくは甲板に出て小さくなってゆくエレファント島を見つめていた・・・僕のバーバリーが丘を抜けるそよ風にはためいているのが見えた-このまま、あの馴染みの強風にあおられ、ぼろきれのようになってなくなる時まで、かもめやペンギンの不思議そうな視線を浴びて、はためきつづけることだろう」。



おわり
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エンデュアランス号漂流27

汽笛の音です


やっと文明社会に再びめぐり会えたのです!

しかし文明は彼らがここにいることを知りません

最後の最後の試練です

ここからどうやってそこへ行けばいいでしょうか




引用



左手には、明らかに安全そうだが、遠回りになるルートが見えていた。一刻も早く山を下りたいと気のはやるシャクルトンは、急坂を下る危険が生じるのを承知の上で、あえてそのまま前進することを選んだ。


三人は荷物集めた。携帯用コンロはもうほとんど空になっていたので、そこに捨てていくことにした。
それぞれの荷物は、最後の一回分の保存食とビスケット一個だけだった。三人は先を急ぎ、深い雪の中をもがきながら進んだ。


しかし、五百フィートほど下ったところで、シャクルトンが先刻、坂の先に見たのはやはり断崖だったと分かった。
しかもこの断崖は、協会のとがり屋根のように険しかった。だが、もはや引き返すということは頭になかった。シャクルトンは崖に身を寄せると、凍った表面に手斧で足場を作り始めた。シャクルトンがまず、五十フィート(約十五・二メートル)のロープのぎりぎりのところまで降り、続いて他の二人が降りてくる。このサイクルを何度となく繰り返した。前に進んではいたが、実にゆっくりであり、危険だった。

断崖を下りきるのにまるまる三時間かかった。が、とうとう、午前十時、三人はふもとに着いた。ここから谷間ではなだらかな下り坂で、谷からもう一度、反対側に抜ける上りがあった。



彼らは非常に疲れていましたが、この山を越えたら、と思って登ります

そしてついに、山を登りきります

見下ろすと、眼下二千五百フィートほどのところに、ストロームネス捕鯨基地が広がっていました

小さな人影も見えます



三人は口もきかずにただ見つめていました


何も-何もいう必要はないとかんじていました



シャクルトンが口を開きます





引用




「さあ、行こう」シャクルトンは静かに言った。

ここまできて、シャクルトンのいつもながらの用心深さが戻ってきた。今こそ何一つ失敗はゆるされない。下方に広がる地形は、決して安全なものではなかった。

氷に覆われた険しい崖が、鉢の側面のように港へと集まっていた。もし足を踏み外せば、そのままどこまでも落ちていってしまう。
途中でつかむものは何もなかった。

一行は山の背に沿って歩き、足場を提供してくれそうな小さな峡谷を見つけると、早速下り始めた。・・・峡谷の側面はどんどん険しくなり、中央は水が流れて小さな川になっていた。進むにつれ川の深さは増し、ついに一行は、雪をかぶった山から注がれる凍えるほどに冷たい水の中を、膝まで浸かってざぶざぶと歩くことになった。

午後三時、一行は小川が不意に途切れている事に気づいた-滝だ。




滝!なんということでしょう!ここまできて、滝に出くわすとは・・・

でもここを進むしかないのです




引用





三人は滝のふちまで行くと、下をのぞき込んだ。二十五フィートほどの落差があった。

しかし、他に道はない。峡谷は今では地溝と呼べるほどの広さがあり、周囲の壁は垂直にそびえ立って、入り込もう余地はなかった。

淵を越えて進むしかなかった。彼らは三人分の体重をささられるぐらいの大岩を見つけると、ロープの先をこれに縛り付けた。バーバリーの上着を脱ぎ、その中に手斧、調理鍋、ワースリーの日記を包み、縁から投げ落とした。


クリーンが最初に下りることになった。シャクルトンとワースリーが見守る中、クリーンは窒息しそうになってあえぎながらも、無事、滝の下に着いた。続いてシャクルトンが水をくぐり、最後にワースリーが降りた。


凍えるような潜水だったが、ともかく三人は滝の下に着き、ここから先はずっと、平地が続いていた。


三人は先に投げておいた荷物を集め、今やわずか一マイルほど近くに迫った捕鯨基地へと歩き出した。

ほとんど同時に、三人は自分たちのものすごい身なりに思い至った。髪は肩までのび、髭は塩分と脂肪分の油でべったりともつれている。衣服は汚れ、すり切れてぼろぼろだった。


(ほんとうに最後の最後なのでできるだけカットしないで書きたいと思いますそれで引用が長くなります)



マティアス・アナセンは、ストロームネス捕鯨基地の現場監督だった。シャクルトンに会ったことはなかったが、サウスジョージア島の他のものと同様、千九百十四年にエンデュアランス号がこの湾から出発したということは話に聞いていた・・・そして、まず間違いなく全乗組員ともども、ウエッデル海に沈んだということも。

しかしこのとき、彼の頭にあったのは無論、シャクルトンのことでも、不運な南極横断探検隊のことでもなかった。朝七時から働きつづけ、午後四時を回った今、彼は夕食を楽しみに埠頭に立ち、荷物をボートから下ろす作業を監督していた。

と、そのとき、叫び声が聞こえ、彼は頭を上げた。十一歳ぐらいの男の子が二人、ものすごい形相でこちらに走ってくる。二人の後ろには、三人の男がゆっくりと、かなり疲れた様子で歩いてくるのが見えた。

おかしい。どう見ても三人はよそ者だ。彼らが船の入ってくる港の方角から来ているなら、さして珍しいことではなかった。だが、三人は、山の方角、島の内陸部から歩いてくる。


近づくにつれ、三人は顔が隠れるほどに髭を生やし、顔は目の周りをのぞいて真っ黒だということがわかった。髪は女性と同じくらいのびて肩にかかっている。なぜだかその髪はごわごわと筋のようになっていた。着ている服も妙だった。船乗りの着るセーターやブーツではない。パーカーのようなものを着ているが、あまりにぼろぼろになっているのでなんだかよく分からない。



働いていた男たちも、作業の手を止めて三人のよそ者を見つめていた。現場監督は進み出て三人を迎えた。中央の男が英語で言った。

「アントン・アナセンのところまで連れて行っていただけませんか」落ち着いた声だった。


監督は首を横にふった。アントン・アナセンはもうストロームネスにはいない、と説明した。今は代わりに、オン期の工場長トラフ・セレルが統括している。


英国人は嬉しそうな顔をした。「それはよかった。セレルのことはよく知っている。」
監督は三人を、百ヤードほど右手にあるセレルの家まで案内した。労働者ほとんど全員が、仕事を放り出してこの突然現れた三人のよそ者を見に来た。

(ノックされ、ドアが開きます )


少しするとセレルその人がドアを開けた。シャツ姿のセレルは、相変わらず見事なカイゼル髭をたくわえていた。

三人の男を見て、セレルは少し後ずさりし、信じられないといった表情を浮かべた。

長い子と口もきけずにいたが、やっとのことで訊いた。

「あんたたち、いったい何者だ?」

中央にいた男が進み出た。

「私は、シャクルトンといいます」男は静かに答えた。

再び、沈黙が流れた。このときセレルは、顔をうつむけて泣いた、と伝えられている。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さあ、救助へ!

エンデュアランス号漂流26

引用





シャクルトンは、三人がお互いに体をくっつけ、一つの塊になって滑り降りることを提案した。三人はすぐに座り込み、お互いをつないでいたロープをほどくと、それぞれの分のロープをマット代わりに体にぐるぐる巻きつけた。ワースリーは両脚をシャクルトンの腰にからめ、両腕をシャクルトンの首に回した。クリーンも同様に、ぴったりとワースリーにくっついた。



一分少々で準備は完了した。シャクルトンはあれこれ考える時間を与えず、用意が整うとすぐ、下り坂を滑り出した。次の瞬間、男たちの心臓は止まった。一瞬、体が宙に浮いたかと思うと、次には風が耳元でものすごい音をたて、目の前を白い霞のような雪が過ぎていった。下へ・・・・下へ・・・・男たちは叫びを上げていた。必ずしも恐怖からではなく、ただ自然に声が出てしまうのだ。ものすごい勢いで耳と胸を攻めてくる圧力に押され、絞り出された声だった。スピードはどんどん増した。-下へ・・・下へ・・・下へ!



やがて彼らは平らな雪面に達し、スピードはゆるくなった。そして雪だまりにぶつかり、急停止した。



三人は立ち上がった。息は切れ、心臓は激しく脈打った。が、こみ上げる笑いをこらえることは出来なかった。百秒前の恐ろしい見通しは、今や息を呑むほどの大勝利へと変わった。







すごい!かなりのスリルだよね

無事に助かったみたい

彼らが空を見上げると、霧が彼らがいたところに・・・

このとき彼らは奇妙な誇りを感じました





一行は食事をして、雪の積もった坂を登り始めます。

暗闇の中だったのでクレパスの危険がありました。

月の光がちょうど照らしてくれたおかげで、彼らはクレパスに落ちずに進み続けました





引用




十二時三十分ごろ一行は四千フィートほどの高さまで登り、そこで斜面は緩やかになって、わずかに北東にカーブを描きながら少しずつ下っていた-ストロームネス湾に通じているにちがいない。期待に胸をおおきくふくらませて、男たちはこの坂を下り始めた。寒さはいよいよ厳しくなった-あるいは彼らがより寒さを感じるようになったのかもしれない。





一時間以上坂を下っていくと、再び水辺が見えてきた。月の光は、ストロームネス湾の中央に浮かぶ、マトン島を映し出した。そのまま歩き続けるうちに、さまざまな見覚えのある地形が目に入ってきて、男たちは興奮してあちこち指しあった。あと一時間かそこらで、湾にたどり着けるだろう。




だがそのとき、クリーンは右手にクレパスがあるのを発見した。行く手の上方にも、クレパスが見えた
三人は足を止めた-おかしい。彼らは氷河の上にいた。ストローネムス湾の周囲には、氷河などないはずだ。


そしてわかったのは、自分たちは目的地に着きたいと熱望するあまり、勘違いを重ねたということだった。前方に浮かぶ島はマトン島ではなく、見覚えのある地形はどれも彼らの想像の産物だった。




残念なことに彼らは違ったほうへ進んでいました


今来た道を引き返さなくてはなりません

もうすぐ冬が来るというのにこんなふうにいっては戻り、戻ってはいってどんなにじれったかったことでしょう



彼らは無駄にした行程を取り戻そうと頑張り、もと来た位置に戻ります

そしてまた、別の山の背にぶつかり、抜け道を見つけます




引用





だが、すでに彼らは消耗しきっていた。岩の後ろに小さな空間を見つけるや、三人は先を争うように座り込み、暖をとるために互いに抱き合った。ワースリーとクリーンは瞬く間に眠りに落ち、シャクルトンもまた、こっくりを始めた。瞬間、シャクルトンはびくりとして目を開けた。南極探検の長い経験から、これは危険な徴候だと分かっていた-凍死にいたる、危険な眠りだ。彼はもう五分間、必死に眠気と闘い、それからすでに三十分眠ったと、他の二人を起こした。




シャクルトンが気づいてくれなかったらどうなっていたでしょう?

冬の山って美しく、恐ろしいですね





引用




短い休息をとったものの、彼らの脚は相変わらずこわばって、まっすぐに伸ばすことすらつらくなっていた。三人は無様な格好で、また歩き出した。山の背の切れ目は千フィートほど上方にあり、その向こうに何があるのだろうという不安には堅く口を閉ざして、足を引きずりながらそこへ向かった。





頂上についたとき、朝一番の光が反対側を照らし、行く手をさえぎるものはないこと、ストロームネス湾の西に連なる山々があることが見えます

「こいつはすごい」とワースリーはつぶやきました




引用




一行は下り始めた。二千五百フィートまで下ったところで、朝食の休憩をとった。ワースリーとクリーンが携帯用コンロを置くための穴を掘っている間に、シャクルトンは行程の少し先まで歩いていった。


小さな峰に上った。そこからの眺めはしかし、望ましいものではなかった。よくはわからないが、この下り坂は、断崖に行き当たっているように見えた。



シャクルトンは峰を戻り始めた-そのとき、ある音が彼の耳に届いた。ぼんやりとした、はっきりしない音だったが、汽笛のように聞こえた。時刻は午前六時半・・・捕鯨基地で働く男たちの起床の時間だ。



シャクルトンは大急ぎで峰を下ると、ワースリーとクリーンにこの素晴らしいニュースを伝えた。

三人は朝食をかき込んだ。ワースリーが襟もとからクロノメーターを取り出し、三人は身を寄せ合ってクロノメーターの針を見つめた。シャクルトンが聞いた音がストロームネス湾の汽笛の音だとすると、もう一度、午前七時に、作業開始の汽笛がなるはずだ。



時刻は六時五十分だった・;・六時五十五分になった。三人は余計な音を立てまいと息を詰めた。六時五十八分・・・六時五十九分・・・
一秒の狂いもなく、ボーという汽笛の音が、朝のうすい空気を抜けて聞こえてきた。



三人は互いに顔を見合わせた。笑顔がこぼれた。何もいわず、ただ握手を交わした。山中できいた工場の汽笛の音-こんなものが、人を感動させる。だが彼らにとってこれは、十七ヶ月前の千九百十四年十二月以来、初めて耳にした外の世界の音だった。






彼らは、自分たちは大変なことを成し遂げた、当初予定していたことは出来なかったが、それよりすごいことをやってのけたのかもしれないと、感じました・・・





まだこれで終わりではありません

まだそこに着いたわけではありません  

仲間がまだまっています






やるべきことはまだ残っていました-




エンデュアランス号漂流25

さあてこれからです!

湖が見えてきたところからです


彼らは楽な下り坂を下りましたが、次第にクレパスが増えてきます

最初は浅いクレパスだったのが、広く深いものに変わっていきます


七時までに太陽は高く上り、霧もきれいに晴れます

気づくと目の前に大きな湖がありました


三人はすでに七マイル進んでいましたが、そこに彼らの歩いていけそうな海岸線はなく、三人は戻ることを余儀なくされました


さっき下った坂を上りはじめます


引用



何より悪いのは、時間がないということだった。もっと時間があれば、きちんと下調べをして最善のコースを探し、必要なときに休み、体調や天候が良好なときだけ進むことが出来る。しかし、今最も重要なのは、スピードだった。三人は寝袋もテントも持っていなかった。もしこのような山中で悪天候に遭ったら、命が危ない。サウスジョージア島のブリザードは、世界でも有数の激しさで知られていた。




つらく苦しい二時間をかけて無駄にした工程を取り戻した後、一行は東に向けて再出発した。
八時半、前方に低い山の連なりが見えてきた。全部で四つの山が、固く握ったこぶしの指関節のように連なっている。ワースリーは、一つ目と二つ目のあいだあたりが最短距離だろうと判断し、一行はその方角へと向かって歩いた。




一行は初めての食事を取ります

ビスケットと保存食を混ぜて熱くしてから食べます



そしてまた出発です




引用




このあたりから上り坂は少しずつ急になり、三人はシャクルトンを先頭に、じりじりと進んだ。ほとんど垂直と思われるほどに急な坂もあり、手斧で足場を作りながら登らねばならなかった。


そして十一時十五分、ついに一行は頂上に着いた。シャクルトンが最初に反対側を見下ろした。眼下は切り立った崖で、およそ千五百フィート下まで深くくぼんでいた。周りには粉々になった氷のかけらが散らばっており、彼のかがんでいるちょうどその場所から、砕け落ちたものだった。シャクルトンは他の二人を呼び、反対側の様子を自分の目で確認させた。降りる道は皆無だった。

さらに、右手には、氷の断崖とクレパスが混沌と広がっていた-立ち入り不能区域だ。左手には氷河が険しくくだって、そのまま海に注いでいる。しかし正面、一行が進もうとしているまさにその方角には、雪をかぶったなだらかな上り坂が、おそらく八マイルほど広がっていた。何としてもあそこにたどり着きたい。しかしそのためには山を降りる必要があった。


三時間以上もかけて必死に登ってきた山だが、今や同じコースを引き返し、別の道、おそらくは二つ目の山を越えて反対側に抜けるしかなかった。




彼らは少し休息をとったのち、今来た道を引き返します   下りは楽でしたが、精神的につらいものでした

彼らは山のふもとについてからまた新しく針路をきめ、そのほうへ進みます





引用




一行は十二時半に保存食のシチューを食べ、すぐに出発した。前回よりさらに険しく、厳しい登りで、坂を半分ほど登ったあたりから、手斧で足場を作らなければ進めなくなった。疲労と高度は男たちの体に大変な負担をかけ、休みなく歩き続けることは難しくなってきた。

だがとうとう午後三時近く、一行の視線に山の背-青白い氷に覆われた頂上が入ってきた。



頂上から反対側をみおろすと、そこには前回とほとんど変わらぬ、どう考えても突破出来そうにない光景が広がっていた。異なる点といえば、今回の方がさらに迫力があるということだけだった。日は落ち始めていた。重い霧がはるか下方の谷に立ち込め、振り返ると西の方角から、さらに多くの霧がこちらへ向かってきていた。


彼らのとるべき行動は一つしかなかった。山を下らなければ、間違いなく凍死してしまう。シャクルトンは現在地を、標高およそ四千五百フィート(約千三百七十一メートル)と推定した。夜間の気温は用意に華氏の零度を割る。寒さから身を守るすべはなく、彼らの着ている衣服はあまりに薄手の上にすり切れていた。


シャクルトンは躊躇なくきびすを返し、二人を従えて再び山を下り始めた。





それから彼らは再び山を登ります


力はほとんど残っておらず、足元はふらつきながらですがそれでもようやく頂上へたどり着きます

山の背をまたいで下を見ると、前ほど険しくない斜面でした  ふもとではほとんど平らといえるほどでした

あたりは急速に暗くなり始めていました


また彼らのいるところにも霧が忍び寄っていました。




引用



このまま霧が立ち込めたら、彼らはこの切り立った尾根の上で何も見えず、身動きが取れなくなってしまう。


ためらっている暇はなかった。シャクルトンは弾みをつけて山の背を越えた。そして猛然と斜面に足場を作り、ゆっくりと少しずつ降り始めた。

空気には身を刺すような寒さが満ち、太陽はいよいよ沈もうとしていた。

男たちは確実に下っていたが、気がおかしくなりそうなほどゆっくりとしか進めなかった。


三十分後、氷のように堅かった雪面がゆるみはじめた。つまり、ここから先は下りはさほど急ではないということだ。シャクルトンはしばし立ち止まった。不意に、自分のしていることの愚かさを、悟ったようだった。


彼らの現在のペースでは、完全に下りきるのに後数時間はかかる。

さらに今からでは引き返にしても遅すぎる。




ここでシャクルトンは思いがけない決断をします

シャクルトンは二人を、クリーン、ワースリーを呼び寄せます





引用



シャクルトンは早口で、自分たちが重要な選択をせねばならないことを告げた。もしこのままここにとどまれば、彼らは凍死してしまうだろう。・・・それはまず間違いない。何としても山を下る、それもきわめて迅速にくだる必要があった。

そこで彼が提案したのは、雪面滑り降りることだった。

ワースリーとクリーンは言葉を失った-このような正気とも思えぬ解決策が、シャクルトンの口から発せられるとは。だが、シャクルトンは本気だった。・・・その顔に笑みはない。本気でやるつもりだ-二人にはそれが分かった。


しかしもし岩にぶつかったら。クリーンは尋ねた。

このままここにいると言うのか?シャクルトンは声を荒らげた。


もし坂がなだらかでなかったら、急な断崖があったら。ワースリーが続けた。

シャクルトンは苛々しはじめた。再び激しい口調で言った。このままここにいると言うのか?


そんなことは出来るはずがなかった。ワースリーとクリーンはシャクルトンの提案に同意せざるを得なかった。


ほかに下る方法はないのだ。こうして決断はくだされた。




続きはまた


エンデュアランス号漂流24

一行はそれから再び二日ほど休みます

それから、彼らがいたところから進むのは難しいことから、キング・ハーコン湾を目指します

夜明けとともに起き、荷物を積み、順調に進みます。




引用



実に陽気な航海で、ケアード号は輝く海の上をすべるように進んだ。歌を歌うものまで現れた。


正午少し過ぎ、高い断崖をまわると、そこに隠れるようにして、なだらかな坂になった砂と小石の浜があった。数百頭のゾウアザラシが群れを成しており、食物と燃料は無限に入手できそうだった。

十二時三十分、一行は上陸した。



そこで彼らはキャンプを作り、ペゴティ・キャンプと名づけます

シャクルトンは一刻も早く出発しなければと思っていました

季節は確実に冬に向かい、まもなく天候が悪化するのは明白でした

さらにその日は満月でした  夜間に歩くことを考えると月明かりは必須です

しかし次の日は重い雲と雨でした

マクニーシュはブーツを作り変え、陸路のたびについて話し合いました


その次の日も、いい天気ではなく、ワースリーとシャクルトンは偵察に出かけました


シャクルトンは何とか出発することで必死でした


旅の装備もおこなわれました



引用



旅の装備は極めて少なくおさえ、寝袋すらもたずにいくことが決まった。三名は、それぞれ三日分の保存食とビスケットを携行する。さらに、六回分の食事の用意ができるくらいの燃料の入った携帯用コンロ、調理用の小さな鍋、半分ほど使用済みのマッチ一箱、コンパス二点、双眼鏡、結んだ五十フィートのロープ、それにピッケル代わりとしてマクニーシュの手斧が装備に加えられた。



そのほか、ワースリーの日記だけは、特別に携行が認められた


夕方になり、雲が切れ始めた。シャクルトンはマクニーシュを呼んだ。ここに残る三人の統括を任せるつもりだった。シャクルトンはマクニーシュに最後の指示を与え、彼の日記に次のような文章を残した。


内容だけ記すことにします 実際のとはちょっと言葉遣いが違います



「残る人たちの全責任をあなたに委ねる。救助が現れるまでここで待つように。ここに2連式の銃を残しておくのでそれでアザラシなどをしとめるように。万が一、私が戻らなかったら、冬を越してからボートで東海岸を目指したらいい。数日の後に救助に戻ることが出来ると信じている。」

心を込めて、アーネスト・シャクルトン



天気が回復して、彼らは出発します


いよいよ、最後のたびです!


彼らは雪をかぶった急な坂を上り始めました



引用


シャクルトを先頭に、一行は元気よく歩き、最初の一時間ほどは、一度もとまることなくのぼりを続けた。しかし、足元の雪は柔らかく、くるぶしまであった。間もなく、三人の脚は苦痛を訴え始めた。幸い、二千五百フィート(約七百六十二メートル)ほどまで登った所で、やや平らな土地が続いた。


彼らの持っている海図には、サウスジョージア当の海岸線しか描かれておらず、しかもそのおおかたが破れてなくなっていた。内陸部は真っ白だった。そのため、目に見えるものを頼りに進むしかなく、シャクルトンは繰り返し行く手に目を凝らしては、どんな地形が広がっているのかをしろうとした。しかし午前五時、濃い霧が立ち込め、もれてくる散光だけでは、足元の雪でさえ、踏み込む直前にやっと確認できる程度だった。シャクルトンは安全のために、お互いの体をロープで結びつけることにした。





(目に見えるものを頼りに進むしかない、しかも雪山の中で!
とんでもない旅いや遭難に近いかも・・・すごい)


夜明けまでに、ワースリーの推定で約五マイル歩いた。太陽が昇ると、霧は晴れだした。前方に見えてきたのは、雪をかぶった巨大な湖で、彼らの進んでいる方角のわずか左に広がっていた。湖は幸運のきざしだった。少なくともそれだけの距離の平らな土地があることを意味するからだ。男たちは湖に向かって歩き始めた。



続きはまた

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